槍ヶ岳北鎌尾根(単独) 前半

 学生時代からの(ながっ!)憧れであった槍ヶ岳北鎌尾根に行ってきました。天候不順で、台風21号が近づいていることもあり、上高地についてからコースに関して色んな算段が必要になるなと思いつつ、8月31日(金)の終業後すぐに新幹線で名古屋へ向かい、名古屋23時発の名鉄高速バスに乗り、翌9月1日朝5時15分上高地着で懐かしい北アルプスに到着しました。
 天気は大雨。ザックカバーもしっかり完全武装で出発です。あまりに水量が多ければ、天上沢や北鎌沢は危険なので、大人しく槍沢から槍ヶ岳に登り、大キレット・ジャンダルムを越えて西穂に向おうと思っていました。全ては大曲で水俣乗越しに向かうかどうかです。
 梓川はかなり水量が多くなっていましたが、雨はやみかけていて、槍沢ロッジで雨具を脱ぐことが出来ました。
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 雨具を脱ぐと気持ちが盛り上がり、ほぼ水俣乗越へ向かうことを決めていました。水俣乗越を見てみたい気持ちもありましたから、天上沢へ下るかどうかはまだ決めていません。僕の悪い癖で、時間を記録しないのですが、上高地から水俣乗越までかなりハイペースだったと思います。乗越までの登りは以外に楽でした。
 水俣乗越からの下りは本当に急でしたが、最初だけで、あとは右の草付きトレースに移ってしまえばそれほどでもありません。キツイのは降り切る手前当たりで、ここでは気力をかなり持っていかれました。その後も実に歩きにくいガレ続きで二度ほどキツイこけ方をして冷や汗を掻きました。おまけに天上沢の水量が多くてかなり頻繁に渡渉しなければなりませんでした。沢は結構狭くなる箇所もあり、ジャンプだけで下れるギリギリの水量だったと思います。
 上空がガスっているため稜線が見えず、北鎌の様子が分かりません。これは下り過ぎたか!!と不安に思う頃、やっとケルンを発見。ケルンが有り難くて、思わず次の人のためにと大きな石を積み上げました。

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 北鎌沢はこの様子です。水量がとても多くなんとか登れるリミットだったと思います。北鎌のコルかなり手前まで水が溢れ出していました。コルから落水音がかなり騒がしく聞こえていた程です。ちなみに北鎌沢右股と左股分岐は思ったより上方にありました。
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 右股はほぼ完全な沢登りで、昔ワラジを履いて(フェルトもありましたが)丹沢で楽しんだクライミングを思い出しました。苔コートは殆どなく、フリクションは良好だったので助かりました。しかし、途中沢崩れでもあったら間違いなく終わりだったと思います。しかもガスっていて上が見えず、不安を感じるたびにザックを置いて空身で偵察を繰り返し、なにより冷静さを優先しながら高度を上げていきました。ルートについては色々言われているようですが、「基本本流、1対1なら右。上方にひょうたん島が見えてきたら左。ひょうたん島は右からかわす」感じでしょう。適当に登りやすいように登ってしまうと知らないうちに間違った方に入り込んだりするので要注意です。何度も視界ゼロになることがあり緊急ビバークも覚悟しましたが、僅かな平地もありません。沢筋以外は滑り台のように草がしな垂れた急斜面で、石ころ一つ落ちてきても交わすことはほぼ不可能です。ある意味(特に今回の北鎌沢は)、全行程で一番危険度が高かったかも知れません。本当は入山してはいけなかったかも知れません・・・。ザックを置いて偵察を繰り返すうち、足先から頭のテッペンまでビショ濡れになりましたが、結果一度も間違うことなく北鎌のコルに到着しました。16時ちょうどでした。危険な箇所は可能な限り早く抜けるが正解か・・・。
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 シュラフやマットはないので、シュラフカバーに包まって固く冷たい地面で休みます。僕は普段から布団で寝ずにフローリングに直に寝るようにしているので固く冷たいのは慣れてるものの、21時くらいから急激に気温が下がり、殆ど寝れずに翌朝を迎えました。9月2日です。明日3日が晴れて、4日は台風要注意の予報だったので、いっそのこと一日休養しようかと考えましたが、予報はあくまで下界のもの。曇っているけど視界がある限り進めるところまで行こうと、少し遅めの7時にコルを出ました。朝方、猛禽類と哺乳類の戦いがコルの近くで展開され、大自然の中にいることを感じました。
 コルを出てからも、適度に嫌らしい急斜面と間違いトレース、残置ロープのある岩場が続きます。特に稜線に出るまでは、千丈沢天上沢ともに切れ落ちており要注意です。緊張感を緩めてボケっと歩ける箇所は、槍ヶ岳まで皆無であると覚悟しなければなりません。マジです。
 稜線に出てからは、「基本稜線通し。巻くときは千丈沢側。巻くとしても可能な限り早く稜線に戻る」が正解と思います。何度か太陽が出ましたので、パンツ一枚になってあらゆる衣類を乾かしました。靴だけはどうしようもありませんが。
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 独標トラバースですね。ここらへんはすぐに分かります。後に出てくるコの字岩含め、拍子抜けするくらいで大したことはありません。しかし、トラバース後は結構怖い思いをしながら勇気を振り絞って登り、ほぼ直登で岩の窪みに水が溜まっているピークに出ましたが、ここが独標なのかどうか。ハイマツ混じりのキツイ登りで、体力と気力を大きく消費しました。
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 岩場ばかりですが、登り方によってはハイマツ頼りに攀じ登ることもありかと。手段は選ばす行くつもりですが、ただ、基本(上記)は常に意識していないと、行き詰ると命取りです。なるほどエスケープどころか、戻ることさえ不可能であり、逆に危険度倍増です。独りで挑むことは決して薦められませんし、薦めてはいけませんね。来る人は自発的に覚悟を持って来るでしょう。
 クラックやチムニー系統は全て濡れていました。ただ、ガスっているもののスラブ系のところは乾いていたのでなんとかクリアして進みましたが、何度かクライムダウンしてやり直すこともありました。僕は石垣登りがすごく好き?で、でランやチャリで通勤するときはお決まりの石垣で楽しむのですが、飛び降りずにクライムダウンすることを重要視しています。何となく役に立っている気がして、緊張しながらも充実感を味わいました。
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ハイマツや木の根も上手に利用しないと、太いのが思わぬ弱さだったりします。確認必須です。
前編終わり。後半に続きます。

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